なぜ、このアプリなのか
訪日観光客が日本の鉄道で最も困るのは、電車に乗ることではありません。乗るまでと降りてからです。
どの駅から乗ればいいのか。この改札でいいのか。乗り換えはどっちなのか。目的の店は何番出口なのか。既存の乗換案内は「A駅からB駅まで」は完璧に教えてくれますが、その前後にある迷いには答えません。
AiRouteは、そこを埋めるために作っています。
3つの柱
1. ルートそのものが商品になる
旅するインフルエンサーが「都内近郊一日旅」「スイーツ店めぐり」「聖地巡礼」をSNSで公開する。その同じルートを、AiRouteでそのまま再現できる。駅だけでなく、店舗・観光地を最大5か所まで経由できます。
ルートを販売でき、立ち寄り先の店舗ともつながります。旅の作り手が収益を得て、店舗には客が来る。旅行者は「あの人が回った順番」をそのまま歩ける。
2. 駅構内で迷わせない
インバウンドが最も迷うのは駅の中です。ホーム、出口、乗換通路。ここを重点的に案内します。
蓄積した「迷いポイント」はデータベースになります。まずAiRoute自身を賢くし、将来は施設・自治体・配送事業者への提供も視野に入れています。
3. 画面を見ずに歩ける(特許出願済)
Apple Watchの振動だけで方向を伝えます。直進は短く3回、右折は短+長、乗換は長×2+短。スマホを見ながら歩かなくていい。スリの標的にもならない。
特願2026-184056(2026年8月4日出願・個人名義)観光案内の、その先へ
この「振動だけで方向がわかる」仕組みは、観光客だけのものではありません。目の不自由な方にとって、スマートフォンの画面を見ずに歩けることは、移動の自由そのものに関わります。私たちは、訪日旅行者への案内で磨いた技術を、こうしたアクセシビリティの領域へ広げていきたいと考えています。
さらに、その人が「今どこにいて、次に何が必要か」を状況から読み取り、声や振動でそっと寄り添う——そんなAIによる案内を目指しています。蓄積した「迷いポイント」のデータは、将来的には施設・自治体、そして自動搬送ロボットなどの経路づくりにも活かせると考えています。
現在地点
動いています。
言葉より、実際の画面で示します。都内の自宅から、伊勢丹新宿店に立ち寄って、町屋駅へ向かうルートです。
注目していただきたいのは、いちばん近い駅ではなく、徒歩16分の別の駅からの乗車を提示していることです。最寄り駅は徒歩40分かかり、地元の人ならまず選びません。AiRouteは、地元の人が実際に選ぶ経路と一致しました。
立ち寄り先については「何駅で降りて、どこから乗り直すか」まで示します。ここを省くと、旅行者は伊勢丹の前で立ち往生します。
技術的な裏付け
直通運転を判定します
東急東横線と東京メトロ副都心線は渋谷で直通運転をしています。多くのアプリはここを「乗換」と表示しますが、実際には座ったままで構いません。
AiRouteは路線名ではなく発着時刻の一致で判定します。前の列車の到着時刻と次の出発時刻が同じで、その間に徒歩がなければ同じ列車です。この方式は、京王線と都営新宿線、東西線と東葉高速線など、すべての直通運転にそのまま効きます。
駅構内の移動時間を示します
新橋駅で銀座線のホームまで3分。渋谷駅で改札を出るまで4分。地下鉄の大きな駅では、この数分が乗り継ぎの成否を分けます。
同じ駅を何度も聞きません
「新橋」と入力したとき、路線ごとに5つの候補を並べるアプリがあります。しかし、どの路線で行くかは検索の答えであって、利用者に先に答えさせる質問ではありません。
AiRouteは同一場所の駅を1件にまとめます。一方、日本橋(東京)と日本橋(大阪)のように地理的に離れた同名駅は、確実に区別します。
入力に順番の概念がありません
「出発地」「経由地」「目的地」という役割を固定せず、立ち寄る場所を上から順に並べるだけ。行は末尾に足されるので、入力済みの内容は動きません。順番を間違えても入れ替えられます。
5か所のスイーツ店を並べる作業に、役割の区別は不要でした。
データの構成
| 用途 | 採用 | 理由 |
|---|---|---|
| 経路検索 | NAVITIME(個人契約) | ドアtoドアで徒歩を含む。直通・出口情報まで取得可 |
| 駅・路線情報 | ODPT(公共交通オープンデータ) | 無料・商用可。路線名つきで駅を特定できる |
| 地図・場所検索 | Google Maps / Places | 店舗・観光地を立ち寄り先として扱える |
| 保存・共有 | Firebase | 持ち主IDつきでルートを保存し、共有できる |
| AI | Gemini(Cloud Run経由) | 候補の選定と状況に応じた提案 |
事業として成立させる設計
経路検索APIは従量課金です。立ち寄り先1か所のルート検索で、およそ24円かかります。
無料アプリでは成立しません。ただし、AiRouteの主戦場はこの構造から外れられます。
インフルエンサーが公開したルートは、中身が変わりません。「スイーツ店めぐり」は誰が見ても同じ順番、同じ路線です。作った人が1回検索した結果を保存しておけば——
閲覧は実質無料にできます。費用がかかるのは「利用者が自分で自由に検索する」機能だけで、そこは回数制限や有料機能として設計します。
この構造を理解したうえで作るかどうかで、事業の成否が変わります。
ロードマップ
第1段階:限定公開
- AIによるルート選定(「雨だからバスで」「乗換が少ない方で」)
- 全ユーザー共有のキャッシュ
- Apple Watch振動ナビの実装
- インフルエンサー・知人によるテスト
第2段階:一般公開
- 駅構内案内の本格化
- 立ち寄り先の店舗連携
- ルート販売の仕組み
第3段階:外部提供
- 迷いデータのAPI提供(施設・自治体・配送ロボット事業者)
- ODPTデータを用いた自前の経路探索エンジン
開発体制
個人開発です。エンジニアではありません。AIを開発パートナーとして、設計・実装・検証を進めています。
特許は個人名義で出願済み。当面は法人化せず、個人としてローンチします。